東京の夜

東京の夜をさまよう男女を観察するブログ

今夜の失くしもの

 

東京の夜。

 

 

いつも完璧を演じている人も、

この東京の夜に

飲まれれば、本性を現す。

 

本性を現した人は、

朝になると自分の失ったものに気づく。

 

今夜はなにを失うのだろう。

財布、携帯、バッグ。

 

理性、記憶、友人、恋人。

 

朝になれば気がつくであろう。

 

 

この日は、女どうしの飲み会であった。

女5人。六本木。

気の知れた友人たちとの集いは、

一杯目のお酒から、調子がいい。

 

そのうちの一人、

友人のSは、

いつも完璧だ。

スタイルも顔も完璧。

今まで優等生として生きてきたのだろう。

どこにいても、誰からも好かれるタイプであった。

男を魅きつける方法も知っているのだろう。

いつでも自信に溢れている。

 

23時過ぎ。六本木。

友人の一人が、知り合いの男性たちとの

飲み会に誘われたみたいで、

みんなで移動することになった。

 

私たち5人は、恵比寿へと移動する。

 

雑居ビルに入ったバーで、男たちが集っていた。

 

酔った女5人は、上機嫌。

 

 

友人Sは、好みの男性を見つけたみたいだ。

その男性の隣に、肩を合わせ座っている。

彼女は、いつも通りの

男性を落とす術を

存分に発揮しているようだ。

普段は、吸わないタバコを

男性に合わせて吸っているようだった。

しかし、その男性は、Sに興味を見せる様子はなく、

積極的な女の行動を

冷ややかに見ているようだった。

 

カラオケで歌いながら、

ただひたすら飲む男女。

 

だんだんと、友人Sは、

本性を現してきた。

 

その男に望みがないことを察したのだろう。

 

女たちに

「帰ろう。」と言った。

強引に、女たちを外へと出させた。

 

 

友人Sは、機嫌が悪かった。

いつもの様子とは、別人だ。

 

「帰る。つまらない。くそみたいな男しかいない。」

 

彼女はそう言って、彼女はその場を立ち去って行った。

彼女の本性だ。

 

この日、彼女が失ったものは、

理性だ。

もしかしたら、友人かもしれない。

 

 

東京の夜。

なにが彼女を彼女にしたのだろう。

 

ときに東京は、

私たちを広い心で受け入れる。

しかし、

ときに、私たちを激しく拒絶する。

 

今夜の東京は、

私たちを受け入れるのだろうか、拒むのだろうか。

 

今夜に賭ける。

東京の魅力だ。

 

しかし、そんな気まぐれな東京の夜は、

人々からなにかを奪っていくのだ。

 

今夜、なくしたものはなんなのだろう。

無責任な東京で、

なにかを失う。

 

ただ、自分を見失ってはいけない。